2006年08月23日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(6)


 
     「失恋レストランにて」(7首)

「<涙忘れるカクテル>なんてない」と言う麻薬(ヤク)に溺れたことあるマスター  

<涙ふくハンカチ>広げ酔客のコインをつぎつぎマスターは消す  

「アメリカのポルノ女優のような名のカクテルそれじゃあマスター作って」

「今までにフラれた数だけタダにしてやる」と笑ってシェーカーを振る

<道化師の涙>という名のカクテルを飲み干し一生おどけていたい  

マスターが青いタオルで汗をふき見事に歌う<早実校歌>  
 
「ねえマスター、ねえマスター……」と酔いつぶれ椅子の硬さが心地好くなる
  

 
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2006年08月21日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(5)


  
No.1ホストが酒をあびるごと夏の雷雨にずぶ濡れとなる  


原油高で係留されたままの船、漁師は陸(おか)で焼酎に酔う


居酒屋の主人が墨を日本酒ですって毎日書くお品書き


キープしたボトルをのこし消え去った男とママのその後の話


 
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2006年08月19日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(4)


 
日本酒のオン・ザ・ロックの氷塊をむなしく鳴らす団塊世代

 
ビール瓶【中】に突っ込み打ち上げるロケット花火に似た夏の恋

 
家庭教師先のママがブランデーをにたりと笑って紅茶に垂らす

 
バイアグラを祖父はハブ酒で流し込みギンギンギラギラ夕日が沈む  


ほろ酔いの恋人たちを詰め込んでシェイクしている大観覧車


  
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2006年08月17日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(3)


   
すっぽんの生き血をロマネコンティと呼んで毎朝のむ祖父と祖母  


仏壇に供えてのちの生温きビールを飲めば涙ながるる


虫かごの弱まってきた蛍火にふりかけてみる祖父の養命酒


「濁酒(どぶろく)は大人のミルク」と言いながらぐいぐい呷る赤ら顔して


水割りの水がほろりと酔っていて俺は酔えずにグラス重ねる


 
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2006年08月06日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(2)


 
酒店<加六>をさがしうろうろ街なかをさ迷いあるく酔いどれ天使


五歳児が<こどもびいる>を飲むかおが祖父の貌へとかわる新盆   


「とりあえずビール!」のビールを飲み干してふたりの距離がちぢまった夏


 
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2006年08月05日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「酒」(1)


 
文庫本三冊ほどの重さした旅の疲れをビールで癒す  


百歳のおばあが唄う「てぃんさぐぬ花」とオリオンビールに酔えり  


ビール瓶色した肌の若者のマウス・ツー・マウスをうけるおじさん  

 
砂浜に一升瓶が流れ着くたこ八郎のいない七月  

 
ブランデーグラス揺らして裕次郎ファンの父の霊を迎える  


カップ酒に溺れて死ぬる蟻もいてお盆の墓地は暮れてゆくなり  


馬乳酒を飲んでいたなら楽々と勝てていたかも亀田興毅は


「彦麿呂の比喩も敵わぬおいしさ!」とお銚子一本サービスの比喩


球場の売り子がそそぐ黄金のビールの酔いで少年にもどる


【佳作】
キンキンに冷えた麦酒(ばくしゅ)よ汗かきの麒麟がわれを誘惑してる  


 
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