2010年07月10日

ツイッター連詩(思潮社「現代詩手帖」企画)



 
ツイート詩、のようなもの
   〜思潮社「ツイッター連詩」に参加して〜 異能兄弟



(T)

お れ は あ ん ど れ ぶ る と ん

(僕らは10円玉が告げた男が誰なのか知らなかった)

こっくりさん、こっくりさん、教えてちょうだい



(U)

ここはアントクアリウムみたいなサナトリウムの中庭

世界はミリ単位の誤差も許さぬから

ていねいに少女の小指を植えてゆく

運命を甘受した蝉が鳴きはじめる/そう、勇気、勇気なのだ

ふくらはぎが帰りたがっても

ぎやどぺかどる、ぎやどぺかどる・・・・・・と

おんぼろ自転車のペダルを踏む

あくびする人体模型の埃臭い息に

呼ばれているんだ

ポケットには百葉箱の鍵

首吊りに失敗した剣玉のたまが線路に飛び込んだ

目を閉じて深呼吸して、と誰かの声

ダウジングのL字棒が反応する

ママが埋めたタイムカプセルが罅割れて

響きわたるアリア

唄え。他人よりも早く大人になる子役のためのララバイを。



(V)

夕焼けは一枚の赤紙(入道雲の海兵さんが血に染まる)

枯れることなく伸びつづける東京スカイツリー

訃報をはこぶ夕刊

自由気ままに生まれては死んでゆくさっきまでの未来たち

自意識過剰の塩が真っ赤なスイカの上で溶けてゆく

祖母の記憶はモノクロの3D画像となって

小さな種子のなかの闇とたたかう光でした

三つ編みの絶叫!

砲弾まみれの悲鳴!

照明弾のような笑い声がして

滴るのは海水、それとも海水のような人工物?

ダレデモヨカッタ・・・・・・/どうして私でなければいけなかったの?

涙で濡れた枕が錨となって夜をつなぎ止める

粉々にしたカレイドスコープをふりかけた夜

消えたのは記憶ではなく手品師のアシスタント

牡丹、松葉、柳、散り菊(あっ、落ちた)

線香花火の玉(また夏に会おうね、ばいばい)



(W)

今日もサドゥーの髭の如く伸びてゆく詩行(剽窃は一本の白い毛)

腹話術師の本音が街を駆け巡る

事件だ!事件だ!リリカルな!

吃音を輻射するパラボラアンテナ

Home Again キャロル・キングの歌声が雨を呼ぶ

すでに腐りかけつつエンバームされている言葉

懺悔/もうじき降り出す雨が僕らの言葉を浄化する

もっと、もっと、もっと光を! 

とソーラー時計の秒針が喘ぐのをかなぐり捨てて

湿気を帯びた苦しみが告げる正午の時報

少女の縄跳びがボクサーのロープ・スキッピングを完全に圧倒した

ゴールポストをはずれたボールが消えてゆく

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大雨洪水警報報発令中 /  /  / 誰も予測できぬカタストロフィが迫りつつある

干乾びた地に150日間降り続いた雨だった

(そろそろ雨乞いの儀式を終えるとするか)

虹のリインカネーション

堰き止められた川はいつか決壊するだろう

待つ気はない。奇襲だ!

KILLROY WAS HERE/今は僕たちがここにいる

現在、水深149メートル!  

まもなく水深150メートル、危険水域に到達します!   

あ、あー、決壊!

濁流だ! 決壊は当初から予見されていた。

われらの顔にも 無理やり引きずりおろされた独裁者の薄ら笑いが

創造以前の混沌の世界/真実の詩は31ユニット目から始まるのだ

しあさっての「し」は「死」ではなく「明」

誤植は五色の不完全な虹だから

報復の匍匐前進決行!

あの飛行機雲はだれの白旗?

仮死状態の言葉 もう手遅れか?

マウス・トゥ・マウス 詩人を救え!



(註)
思潮社「現代詩手帖」の企画「ツイッター連詩」(5行×30ユニット150行)に参加しました。
採用はされませんでしたが、そこへツイートした詩行の中からいくつかを組み合わせ
詩のようなものを作ってみました。若干手を加えたところはありますが、
極力ツイートしたそのままの表現を生かすようにしています。

  

ニックネーム 異能兄弟 at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月22日

「笹短歌ドットコム」4周年記念特別企画4首選



笹短歌ドットコム4周年記念特別企画の4首選(5/8〜)。
これまでの予選通過作品から、僕は次の4首を選びました。

さすらいの蜂蜜売りは知っている 馬場さんが欅だったことを  笹井宏之 【お題「格闘技」】

芽の出ないわたしがここにいるごとく髪ののびない人形ならぶ  みうらしんじ 【お題「人形・ぬいぐるみ」】

春の夜の時計屋が言うさあどうぞ好きな時間をお持ちください  瑞紀 【お題「春」】

公園で君の時間を盗んでるルパンの足のような鉄棒  松本響 【お題「アニメ」】

笹井さんの歌、
ジャイアント馬場の風貌だけでなく、その人柄も見事にとらえています。
僕たちはどこかで馬場さんのことをおもしろおかしく見ているような
ところがあったんじゃないかと思うんですけど、それだから詠い出しの
「さすらいの蜂蜜売りは知っている」というフレーズがより心に響いて来ます。
この歌を読むと、なぜか春のひだまりにいるような
あたたかさと幸福な心地に満たされて大好きです。

みうらさんの自虐的な歌は、
「髪ののびない人形」というごくごく正常、普通なところに着目したのがすばらしいです。
そもそも人形の髪の毛が伸びるほうが怪奇譚になるくらい異常なこと。
この歌には、自虐的でありながらどこかしら救いがあるように感じられるのもそのせいでしょう。

瑞紀さん、
ブラッドベリの小説を下敷きにした「たんぽぽのお酒」の歌にも惹かれましたが、
「好きな時間をお持ちください」と洒落たことを言う時計屋の店主が登場するこちらの歌を……。
今までの時間をリセットし、心機一転新たに始められるような
気持ちにさせてくれるところが「春」というお題にもぴったりです。

松本さんの歌は、下句の比喩が秀逸です。

      ☆

僕の投稿歌もたくさんの方が選んでくださいました。
ありがとうございます。

猫丘ひこ乃 さん、みうらしんじ さん、あきえもん さん、やすたけまり さん、イマイ さん選
公園に電話ボックス舞い降りてひそひそ声の母のはつ恋  異能兄弟 【お題「SF」】  

岡本雅哉 さん選
ジャイアント馬場に食らった蛙(かわず)掛け級の絶望 空を見つめる  異能兄弟 【お題「格闘技」】   

富田林薫 さん選
死ぬまえにシーラカンスのシーフードカレーを父は食いたいらしい  異能兄弟 【お題「魚介類(海草含む)」】    

瑞紀 さん選
二万匹うなぎを食えば乗り移る六十代の斎藤茂吉  異能兄弟 【お題「魚介類(海草含む)」】     

宮田ふゆこ さん選
カップ酒に溺れて死ぬる蟻もいてお盆の墓地は暮れてゆくなり  異能兄弟 【お題「酒」】    

そう蛸 さん選
バイアグラを祖父はハブ酒で流し込みギンギンギラギラ夕日が沈む  異能兄弟 【お題「酒」】   

穂ノ木芽央 さん選
卓上のゴディバの箱に姉の文字<どくいり きけん たべたら しぬで>  異能兄弟 【お題「事件」】

 
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2010年05月20日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「UFO・宇宙人」 (3)



「マケナイデ」ッテダレカガウタウアノホシヲメザソウ「ドンナニハナレテテモ」    


酸性雨浴びてふるえる禿頭の小さきグレイ 泣いたら負けよ    


宇宙人のミイラのように立ったまま枯れてしまった向日葵の花    


UFOに救出されし<平成のジョン万次郎>かも……風船おじさん


ブラウン管テレビに映る研ナオコ知ってる僕らUFO世代    


空き缶でつくるUFO夢想して今日も空き缶つぶすおじさん

  
ニックネーム 異能兄弟 at 11:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 笹短歌ドットコム「UFO・宇宙人」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月12日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「UFO・宇宙人」 (2)



フリスビー追いかける犬の健気さでUFOを追う矢追純一    


エイリアン・ベビー産むごとつきたての餅をちぎって丸めゆく祖母


地球みやげ人気ランキング上位には常に<へその緒>入っていたり


<人類化整形施術・実績は100例以上! YES!高須クリニック>


丸暗記したる『地球の歩き方』だけを頼りに地球を歩く    

 
ニックネーム 異能兄弟 at 17:44| 笹短歌ドットコム「UFO・宇宙人」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月11日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「UFO・宇宙人」 (1)



エイリアンの涙の味と思いつつ<キューサイ青汁>イッキ飲みする    


寝たきりの祖母をひねもす監視するUFO(ユーエフオー)のごとき電灯    


木製の宇宙船(スペースシップ)に一人ずつ眠りぼくらは旅立ってゆく    


ケータイを操作しながら自転車にまたがる奴は火星へ還れ    


アブダクションたくらむように背後から音もなく来る電気自動車    

 
ニックネーム 異能兄弟 at 00:48| 笹短歌ドットコム「UFO・宇宙人」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月20日

異能セントワールド 第8回


 
第8回「オール1伝説」
(お題「一(1)」 /タイトルと選・笹公人)
11首がアップされています。
http://www.sasatanka.com/inohkyodai/

 
ニックネーム 異能兄弟 at 15:08| ☆☆ 異能セントワールド ☆☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月22日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「一(1)」 (6)


 
一卵性双生児の姉妹ねがえりを同時にうてば間延びする夜    


年末にせいいっぱいの一張羅着て帰省せし昭和の家族


東村山一丁目(いっちょめ)たずねて行きしまま行方不明の弟いずこ


喜びは小匙3杯、悲しみは大匙1杯の人生が良い    

 
ニックネーム 異能兄弟 at 11:51| 笹短歌ドットコム「一(1)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月19日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「一(1)」 (5)


 
吸引をされゆく脂肪一キロの余分にも五分の魂はある    


般若心経一字も違えず写経した交換日記を手渡されたり


有名になる日のために取っておく1、1、1……の並ぶ通知簿    


アポリネール『一万一千の鞭』の帯、橋から捨てた十六歳(じゅうろく)の夜

 
ニックネーム 異能兄弟 at 01:02| 笹短歌ドットコム「一(1)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月18日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「一(1)」 (4)


 
一青窈気取りで唄う恋人のブーツが臭うカラオケボックス    


ギャル曽根の小さき眼(まなこ)に見つめられパンダ一頭食材となる


定年をむかえた父の楽しみは<ダイエー日曜一の市>だけ

 
ニックネーム 異能兄弟 at 01:50| 笹短歌ドットコム「一(1)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月16日

「笹短歌ドットコム」投稿歌  お題「一(1)」 (3)



<一見様大歓迎>と墓石に刻んで祖父は永久(とわ)に眠れり    


つぶやきが140字におさまらぬ男ブツブツ街をさまよう    


「独り言つぶやく奴に近づくな!」春一番が少女に告げる    

 
ニックネーム 異能兄弟 at 00:52| 笹短歌ドットコム「一(1)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

 

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